統計の盲点とは?財政審議会の建議に潜む問題を考える|浜田聡議員の質問主意書

こんにちは、Madonnna Village編集部です。

毎日忙しく働いていると、国会でどんな話がされているかなんて、なかなか気にする余裕ないですよね。日常の中でふとした時に、「これってどうなってるんだろう?」と疑問を持つことがあるかもしれません。

2025年02月06日、浜田聡議員から提出された「財政制度等審議会が毎年度作成する予算の編成等に関する建議に対し統計資料として致命的な問題が指摘されている可能性等に関する質問主意書」を元に、今回はその背景や議論を見てみましょう。

そもそも、どんな問題が指摘されているの?

浜田議員がこの問題を取り上げた背景には、財政制度等審議会が作成した予算編成に関する建議に対する統計的な疑義があります。

この建議は国の予算編成の指針となる重要な資料ですが、データサイエンティストらから「統計処理が不適切である」との指摘がありました。具体的には、相関関係を示す際に十分な統計的検証が行われていない可能性があるというのです。

これが、国の政策に影響を及ぼすと考えると、無視できない問題として浜田議員が質問主意書をまとめてくれたようです。

では実際の内容をもとに全体像を見てみましょう。

■建議(けんぎ)とは
政府に対して「こうしたほうが良い」という公式な提案や意見を伝えることを意味します。特に、国の予算や制度のあり方について有識者や審議会がまとめた内容を、内閣や関係省庁に提出する際に使われます。

たとえば、財政制度等審議会が出す建議は、「来年度の予算をどう編成するべきか」「どこに重点的にお金を使うべきか」などを示す、いわば“政策づくりの参考資料”としての提言です。法的な拘束力はありませんが、実際には予算案や制度設計に強い影響を与えることが多く、建議の内容が現実の政治や暮らしに反映されることも少なくありません。

質問と答弁、全て見てみよう

質問1:相関係数の利用についての疑問
浜田議員は、資料における相関関係の分析にピアソン相関係数が用いられているかを尋ね、なぜその係数を採用したのか、その理由を求めました。

💬 政府の答え:ピアソン相関係数を使用
政府は、資料作成においてピアソン相関係数を使用し、国際比較を行うために機械的な計算を行ったと説明しました。しかし、統計的な有意性の検定は行っていないとしています。

📝 編集部EYES:有意性の検証がないままの結論か?
ピアソン相関係数が使われたことは明らかになりましたが、統計的な有意性を検証しないまま「相関関係は見られない」と結論付けたことに疑問が残ります。

■注釈:ピアソン相関係数とは?
ピアソン相関係数とは、2つのデータの「どれくらい一緒に増えたり減ったりするか」を数字で表したものです。たとえば「気温が高いほどアイスの売上が増える」といった関係が強い場合、この相関係数は1に近づきます。逆に「気温が上がるとコートの売上が下がる」ような逆の関係なら、−1に近くなります。そして、まったく関係がない場合は0に近くなります。
つまり、「片方が変わるともう片方も変わるかどうか」を見る指標で、0〜1の間の数値ではなく、−1から1の間の値をとります。この数値を使えば、「本当に関係がありそうに見える2つのことが、実際にどれだけつながっているか」を冷静に判断できます。ただし、相関がある=原因があるとは限らないため、注意が必要です。


質問2:統計的検定の有無
「政府支出の伸び」と「一人当たりGDP成長率やTFP上昇率」に相関があるかどうか、統計的な検定を行ったかを問いました。

💬 政府の答え:統計的な検定は行っていない
政府は、統計的な検定を行っていないと答えました。結論は機械的な計算によるものであり、統計の分析には様々な手法があるとしています。

📝 編集部EYES:結論の信頼性に影響を与えるか?
検定が行われていないことは、結論の信頼性に影響を及ぼす可能性があるため、さらなる検討が必要かもしれません。


質問3:指摘に対する政府の見解
浜田議員は、建議に対する統計的指摘について、政府の見解を求めました。

💬 政府の答え:特段の見解は示されず
政府は、資料は裁量の余地を含まない機械的な計算によって作成されたものであり、特段の見解は示されませんでした。

📝 編集部EYES:機械的計算の限界が議論に?
機械的な計算であることが強調されましたが、これが議論の限界を示すのかもしれません。


質問4:建議作成の見直しについて
建議作成の過程で見直しが行われているか、その過程を示すよう求めました。

💬 政府の答え:審議会の判断に委ねられている
政府は、見直しは審議会の判断に委ねられており、具体的な見直しの過程は示されませんでした。

📝 編集部EYES:透明性の確保に課題が残るか?
具体的な見直しの過程が示されないことは、透明性の確保に課題が残る可能性があります。


質問5:建議の活用と政府資料への反映
建議がどのように政府で活用されているか、具体的な例を求めました。

💬 政府の答え:具体例は示されたが網羅的回答は困難
政府は、経済財政諮問会議等での活用例を挙げましたが、網羅的な回答は困難としています。

📝 編集部EYES:全体像が見えにくい?
具体例はあるものの、全体像が見えにくいことが課題となるかもしれません。


質問6:建議を参考にした政府資料の存在
建議を参考にした政府資料があるか、その資料名を示すよう求めました。

💬 政府の答え:具体例を挙げつつ網羅的回答は困難
政府は、財政制度分科会での資料を例示しましたが、網羅的な回答は困難としました。

📝 編集部EYES:どの程度影響を受けているのか?
具体的な資料名が示されるも、どの程度影響を受けているのかが不明確です。


質問7:統計分析過程の公開について
資料公表時に統計分析の過程を公開すべきとの考えについて、政府の見解を求めました。

💬 政府の答え:適切な情報提供に努める
政府は、各府省庁が総合的に判断し、適切な情報提供に努めるとしています。

📝 編集部EYES:透明性の向上に期待が持てるか?
適切な情報提供が行われることに期待が持てますが、具体的な取り組みが求められます。


質問8:相関関係分析を参考にした資料の存在
相関関係分析を参考にした資料があるか、その資料名を求めました。

💬 政府の答え:財務省は承知していない
政府は、財務省としてそのような資料は承知していないと答えました。

📝 編集部EYES:未知の資料が存在する可能性も?
財務省が承知していない資料が存在する可能性も否定できません。

今回のやり取りから見えること

今回の質疑応答を通じて見えてきたのは、統計資料の作成や活用に関する透明性や検証プロセスの不足が指摘されていることです。

政府は機械的な計算に基づく資料作成を強調しましたが、統計的な有意性の検証が行われていないことや、具体的な見直しの過程が示されないことが、資料の信頼性や透明性に疑問を投げかけています。

これらの課題をどう捉えるかは、読者の皆さんそれぞれの視点に委ねられています。

最後に、あなた自身の問いを見つけるために

私たちは、答えを提示することはできません。しかし、今回の議論を通じて、政府の統計資料の信頼性や透明性について考える機会を浜田議員が提供してくれたのではないでしょうか。

この議論を踏まえて、あなた自身はどのように考えますか?政府の統計資料をどのように捉えるべきか、そしてそれが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか、ぜひ自分自身の問いを見つけてみてください。

一次情報である原文へのリンクはこちら
質問主意書原文
政府答弁書原文